議会ダイジェスト

福井県議会における、民主・みらいの一般質問・議会記録です。

産業行政について ①中小企業の倒産について

2025/09/09

質問:帝国データバンク福井支店のまとめによると、2025年上半期の県内企業倒産件数は、30件に達し、上半期としては3年連続の増加となりました。また、昨年12月時点の分析によれば、本県で今後1年以内に倒産する可能性が高い企業は1,196社に上り、全体の8.4%を占めることが明らかとなりました。業種別では、製造業が370社、卸売業が350社、小売業が174社と、地域経済の中核を担う分野において特にリスクが高まっています。

物価高騰や後継者不足に加え、コロナ禍で実施された実質無利子・無担保のいわゆる「ゼロゼロ融資」の返済負担が重くのしかかっている企業が増加していることが背景にあるようです。

こうした状況は、単なる経済的困難にとどまらず、地域の雇用や生活基盤にも深刻な影響を及ぼす可能性があると考えます。

そこで、県内中小零細企業の倒産リスクが高まっている中、県としてこの現状をどのように分析しているのか伺います。

答弁:大塚産業労働部長 本年1月から7月までの倒産件数は34件で、前年同期比3割強の増加となっています。

倒産の主な要因は、消費低迷による販売不振が全体の約8割を占めています。

本県の場合、今年に入ってからの倒産はゼロゼロ融資を利用している企業が一部あるものの、新型コロナウイルスなどに端を発した売上げの減少が回復せず、経営不振に陥ったケースが多いものと分析しています。

昨今、物価高騰や人手不足、さらには米国関税措置による影響への懸念など、県内企業を取り巻く環境は厳しさを増しています。

県としては、制度融資によるセーフティネットに加え、昨日の経営基盤そのものを強化することが必要と考えています。

そのため、AI、IoT、ロボットなど、デジタル技術の導入による経営改革や新たな販路開拓、新分野進出をはじめ、収益力の向上につながる前向きな取組を支援して、県内企業の事業継続を図ってまいります。

 

質問:令和7年度の最低賃金改定では、47都道府県の最低賃金が出そろい、うち39道府県が国の目安額を超え、全都道府県で初めて千円を突破することになりました。福井地方最低賃金審議会でも、目安額を6円上回る1,053円が答申されました。賃上げは、労働者の生活向上に資する点では歓迎すべき動きである一方で、経営資源が限られている中小企業にとって人件費負担は大きいものとなります。県では継続的な賃上げの実現のため、国の業務改善助成金に県独自の上乗せを行うとともに、一定以上の賃上げを行う事業者に対し奨励金を支給する「ふくい業務改善・賃上げ応援事業」の制度を設けていますが、石破政権が掲げる「2020年代に時給1,500円の実現」という目標を見据えると、今後さらに賃上げが進むことは確実であり、県としてより踏み込んだ支援策が求められると考えます。

そこで、県として、持続可能な中小企業の賃上げを支えるために、今後どのような支援の強化や制度の拡充を図っていくと考えているのか伺います。

答弁:大塚産業労働部長 県では今年度、当初の段階から国の業務改善助成金の上乗せ補助や価格転嫁、収益力強化に向けた補助金について、その枠を拡大するなど、最低賃金の大幅な引上げに対応できるよう準備をしてきており、今回の答申を受け、今月5日に県単独の上乗せ補助の受付を開始したところです。

しかしながら、賃上げの流れは今後も継続すると見込まれることから、中小零細企業における賃上げの原資確保に向け、さらなる政策が必要と認識しています。

このため価格転嫁に向けた交渉支援ツールの開発、改良や零細企業への手厚い伴走支援、収益力向上に向けた企業の前向き投資への補助制度の拡充、生産性の向上に向けた人材の有効活用への支援などについて、具体的な方策を検討してまいります。